技術・人文知識・国際業務ビザ
技術・人文知識・国際業務ビザと外国人

   特定技能1号・2号とは     

✤ 14の産業分野で働けるビザ!

 

 特定技能1号・2号ビザとは、14の産業分野(特定産業分野)において、深刻な人手不足の解消を目的として、即戦力となる外国人を受け入れるために創設(2019年4月開始)されたビザ(在留資格)です。

 

 今までは外国人が日本で働くための代表的なビザとして「技術・人文知識・国際業務」がありましたが、基本的に技術的・専門的分野の業務に限られていることや、取得要件も大卒・専門卒以上又は10年以上の実務経験(語学指導等は3年以上の実務経験)が要求されるなど、とてもハードルの高いものとなっておりました。

 

 これに対して特定技能ビザでは、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造産業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業など人手不足が深刻な14の産業分野において、一定の技能水準と日本語能力を要件として、就労を認めたものです(なお、特定技能2号では、現時点では建設と造船・舶用工業分野に限定されています)。

 

   特定技能・14分野     

1   介護分野

2   ビルクリーニング分野
3   素形材産業分野

4   産業機械製造業分野

5   電気・電子情報関連産業分野

6   建設分野

7   造船・舶用工業分野

8   自動車整備分野

9   航空分野

10 宿泊分野

11 農業分野

12 漁業分野

13 飲食料品製造業分野

14 外食業分野 


 特定技能1号・2号の要件  

 

 以下では、特定技能1号と特定技能2号の要件をご説明いたします。重要なものは「技能水準」「日本語能力」「滞在期間」「家族の帯同」「生活支援」です。

 

技能水準

 特定技能ビザでは働く業種に対して一定の技能水準があることが求められており、特定技能1号では業務に必要な相当程度の知識又は経験を有すること、特定技能2号では熟練した技能を有することとしています。これらの技能水準は国内・海外で行われている技能評価試験等を合格することで証明する必要があります。なお、特定技能1号を経れば自動的に特定技能2号に移行できるものではなく、試験等により特定技能2号の技能水準を証明できれば特定技能1号を経なくても特定技能2号を取得することができます。

 

日本語能力

 特定技能1号では日本語についても一定の能力があることを証明する必要があり、国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上)の合格によって証明しますが、特定技能2号では日本語能力の証明は求められていません。これはあくまでも特定技能2号の取得要件として日本語能力の証明が求められていないだけであり、実際の業務に対応できる日本語能力があるかどうかは採用する会社が判断することになります。なお、介護分野では介護日本語評価試験による日本語能力も付加的に求められています。

 

滞在期間

 特定技能1号と2号には日本に滞在できる期間にも違いがあり、特定技能1号では通算5年、特定技能2号では特に上限は設けられておりません。なお、特定技能1号では付与される在留期間の種類として4カ月、6カ月、1年があり、特定技能2号では6カ月、1年、3年があります。期限が近付いたら更新が必要です。

 

家族の帯同

 特定技能1号では家族(配偶者・子)の帯同は認められておりませんが、特定技能2号では認められています。

 

生活支援

 特定技能1号では外国人が日本で安定的かつ円滑に活動できるように、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援が必要となりますが、特定技能2号では生活支援の対象外となっています。

 

 支援にあたっては支援計画を作成し、支援責任者・支援担当者を選任します。支援の内容としては、事前ガイダンスの実施、出入国の際の送迎、日本での住居確保の支援、生活オリエンテーションの実施、公的手続きの同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、会社都合による解雇の場合の転職支援、定期的な面談など、仕事上だけではなく日常や社会生活上のきめ細かなサポートが必要となります。

 

 支援については受け入れる会社側で対応することも可能ですが、過去2年間に会社として中長期在留外国人の受入又は管理を適正に行った実績があり、役員・職員の中から支援責任者・支援担当者の選任が必要となります(又は過去2年間に中長期在留外国人の生活相談業務に従事した経験のある役員・職員の中から支援責任者・支援担当者を選任)。

 これらの支援については出入国在留管理庁長官の登録を受けた登録支援機関に支援を委託することができます。登録支援機関に支援を委託することで会社として上記の要件を満たすこともできます(行政書士浅岡正道事務所では、4.ARROWS株式会社との提携により、ビザ申請のご相談だけではなく、登録支援機関としての支援サポート、特定技能外国人材の紹介までワンストップの対応が可能です。お気軽にお問合せ下さい)。

  

   特定技能1号     

技能水準 
 業務に必要な相当程度の知識又は経験を有すること(※国内・海外で行われる技能評価試験等を合格することで証明。試験詳細については法務省サイトをご参照下さい)。

 

日本語能力 

 日本での生活及び従事しようとする業務に必要な日本語能力を有していること(※国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験N4以上)。

 

滞在期間  通算5年間

 

家族の帯同 不可

 

生活支援  必要

 

なお、技能実習2号を良好に修了した者は、特定技能1号に求められている技能水準・日本語能力の要件を満たします。すなわち、技能実習2号を修了した後、特定技能1号への変更が可能です。

  

   特定技能2号     

技能水準    業務に必要な熟練した技能を有すること。

 

日本語能力 不問

 

滞在期間  上限なし(更新要)

 

家族の帯同 可

 

生活支援  不

  

特定技能2号は、現時点では建設、造船・舶用工業の分野に限られています。 


 特定技能ビザ取得までの流れ   

 

要件確認・雇用契約

 特定技能外国人が日本で就労を開始するには、いくつかの段階がありますが、まずは特定技能ビザで就労を希望する外国人が、特定技能の要件を満たしているかの確認が必要です。要件を満たしている外国人であれば、国内の外国人であろうと、海外の外国人であろうと、14業種の特定産業分野に関わる日本の会社で採用が可能です。なお、派遣形態で雇用することができる分野は「農業分野」及び「漁業分野」に限られています(※派遣形態での雇用には派遣元・派遣先に要求されるいくつかの要件がございます)。

 

 外国人がこれから特定技能の技能評価試験を受けるような場合であって、現時点では特定技能の要件を満たしていない場合でも採用の内定を出すことは禁止されていません。ただし、この場合、当該外国人が技能評価試験・日本語試験に合格し、特定技能の要件を満たした後でなければ正式な雇用契約を締結して特定技能ビザの申請などを進めることはできません。特定技能ビザの準備にはいろいろと時間がかかりますが、要件を満たしていない段階で、あらかじめ手続きだけを進めておくことはできません。

 

 特定技能ビザの要件を満たしている外国人として想定されるのは、国内であれば技能実習2号を修了しようとしている外国人や、技能評価試験を合格した留学生などが考えられますし、海外であれば既に技能実習2号を修了して帰国している外国人や、海外で実施された技能評価試験・日本語試験に合格している外国人などが考えられます。

 なお、国内の技能評価試験については、短期滞在により来日した外国人でも受験できます(不法在留者は不可)。

 

支援計画の策定・事前ガイダンス

 採用が決定した後は、支援計画を策定し、外国人に対してまずは事前ガイダンスを行います。支援計画、事前ガイダンスの詳細については多くあるため後段で説明しますが、支援計画には事前ガイダンスのほか、出入国の際の送迎方法、住居の確保・生活に必要な支援の内容、生活オリエンテーションの実施方法、日本語学習機会の提供方法、相談・苦情への対応方法、日本人との交流促進方法、非自発的離職時の転職支援方法、定期的な面談等の実施方法などを定めていきます。

 

 なお、これらの支援に関しては出入国在留管理庁長官から登録を受けた登録支援機関に委託することができます(※行政書士浅岡正道事務所では提携している4.ARROWS株式会社により特定技能の要件を満たす外国人材の紹介から登録支援機関としての支援、ビザ申請までワンストップでの対応が可能です。どうぞ、お気軽にお問合せ下さい)。

 

在留資格申請(ビザ申請)

 支援計画・事前ガイダンスを終え、外国人には健康診断を受けてもらい、次に出入国在留管理局(入管)でのビザ申請の準備を進めていきます。海外から特定技能外国人を呼び寄せる場合には「在留資格認定証明書交付申請」、国内にいる外国人の場合には「在留資格変更許可申請」という形式のビザ申請をします。どちらも日本国内にある出入国在留管理局で申請をします。なお、一部の国では特定技能ビザで日本で働く場合に、その国の許可・手続等が必要になる場合があり、それらの証明書もビザ申請の際の添付資料になっていることには注意が必要です(※カンボジア・タイ等)。

 

 海外に外国人がいる場合には「在留資格認定証明書交付申請」をし、無事許可を受けると出入国在留管理局から在留資格認定証明書(COE)が交付されます。この在留資格認定証明書を海外にいる外国人本人に送付し、在外公館(日本大使館・領事館)で手続きをすることで日本に入国するための査証が発給される仕組みになっています。その後、日本に入国することで正式に特定技能1号の許可を受けることができます(空港で在留カードが交付され、ここから在留期間がスタートします。入国後は住民登録等、日本での生活の準備をすみやかに進めていきます)。

 

 すでに国内に外国人が在住している場合には、当該外国人の住所地を管轄する出入国在留管理局において「在留資格変更許可申請」をします。海外に外国人がいる場合に必要となる在外公館に対しての査証申請は不要です。たとえば留学生であれば「留学」という在留資格から「特定技能1号」に、技能実習生であれば「技能実習2号」から「特定技能1号」にという感じでビザの変更を行います。なお、留学生の場合、退学したり、成績不良等により除籍されたりしている場合には審査に影響を及ぼします。また、短期滞在により来日し、技能評価試験を受験して合格した場合であっても、日本国内で短期滞在から直接特定技能ビザに変更申請をすることは原則認められません。短期滞在は短期間日本に滞在して本国に帰国することを趣旨としたビザだからです。よって、この場合はいったん帰国してもらってから「在留資格認定証明書交付申請」を行うことになります。

 

 特定技能1号の在留期間は通算で5年ですが、最初に付与される期間は4カ月、6カ月、1年のどれかです。期限が近付いたら更新の申請をします。この更新を繰り返して最大5年という意味です。なお、この5年には別の会社で過去に特定技能1号で働いていた期間も含まれます。転職して新しい会社に移ったからといってそこからまた5年という意味ではありません。

 また、特定技能1号の在留資格を保有したまま休暇中に出国していた期間や、出産・育児休暇も含まれてしまいますので注意が必要です。

 

就労開始

 ビザ(在留資格)の申請により許可を受けたあとは就労をスタートすることができます。特定技能1号外国人には生活支援が必要なため、日本での生活で孤立することなく、また仕事も円滑に行えるよう、支援計画に沿って支援をしていく必要があります。まず最初にやるのが生活オリエンテーションです。

 また、受け入れた会社・登録支援機関には、各特定産業分野を所管する省庁により設置された協議会への参加や、出入国在留管理局に対して随時・定期の届出・報告が必要です。こうして特定技能外国人の在留がスタートします。

 特定技能ビザは、人手不足の解消・労働力の確保という側面の強いビザではありますが、日本では急激に人口減少が進む中で、これからの日本の国力を維持発展させていくには労働力確保においても国際化への対応・適応が求められており、外国人労働者を受け入れていく中で、日本のルールや習慣への理解を促し、日本の生活への順応とともに、日本に愛着を持っていただけるような、きめ細やかなサポートが必要になってきます。

 



 支援計画とは  

 

  特定技能1号の外国人に対しては、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援が必要となっています。そのため、あらかじめ支援計画を策定し、支援計画に沿って特定技能1号外国人を支援していく必要があります。

 支援の内容は、義務的支援任意的支援があり(支援の具体的な内容については後述する支援の内容にて説明します)、義務的支援に関してはすでに規定によって定められているため、必ず支援計画の内容としなければなりませんが、任意的支援については、更に手厚い支援とするために行うことが望ましいものを会社側によって任意に定めることができるものです。なお、任意的支援であっても支援計画の内容とした場合には支援義務が生じます。

 

 また、特定技能外国人を雇用した会社(特定技能所属機関)は、これらの支援を行うに当たり、支援計画の適性な実施の確保の基準を満たさなければならないとされています(当該基準については以下に記載)。どういう意味かというと、特定技能外国人に対して支援計画に沿って適切に支援を行っていくことができるような体制を整えている必要があるという意味になります。この基準を満たさない場合には特定技能1号外国人を受け入れることができませんが、登録支援機関に支援の全部を委託する場合にはこれらの基準を満たしたものとみなされます(※なお、特定技能所属機関は、登録支援機関に支援の全部を委託する場合であっても、特定技能雇用契約の適正な履行の確保の基準を満たさなければなりません→法律違反・不正行為などの欠格事由に該当していないこと等)。   

1号特定技能外国人支援計画の適性な実施の確保の基準 

イ、ロ、ハのいずれかに該当すること。

(イ)過去2年間に、中長期在留外国人(法別表1の1・2・5の在留資格で収入を伴う・報酬を受ける活動に限る)の受け入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役員又は職員の中から支援責任者及び事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可能)。

(ロ)役員又は職員であって、過去2年間に中長期在留外国人(法別表1の1・2・5の在留資格で収入を伴う・報酬を受ける活動に限る)の生活相談業務に従事した経験を有する者の中から、支援責任者及び事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること。

(ハ)イ又はロの基準に適合する者のほか、これらの者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として認めたもので、役員又は職員の中から、支援責任者及び事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること。

支援計画に基づく職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を当該外国人が十分に理解することができる言語によって行うことができる体制を有していること。

支援の状況に係る文書を作成し、支援を行う事業所に特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くこととしていること。

支援責任者及び支援担当者が、外国人を監督する立場にない者、その他の支援計画の中立な実施を行うことができる立場の者であり、かつ、欠格事由(省令第2条1項4号イ~ルまでの法令違反等)に該当しない者であること。

特定技能雇用契約の締結の日前5年以内又はその締結の日以後に、1号特定技能外国人支援計画に基づいた支援を怠ったことがないこと。

支援責任者又は支援担当者が特定技能雇用契約の当事者である外国人及びその監督する立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること。

前各号に掲げるもののほか、法務大臣が告示で定める特定の産業上の分野に係るものにあっては、当該産業上の分野を所管する関係行政機関の長が、法務大臣との協議の上、当該産業上の分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。  

 

支援の内容

 特定技能1号の外国人に対する支援の内容には、義務的支援と任意的支援があるとご説明しましたが、ここではその具体的な内容について、以下、①「事前ガイダンスの提供」、②「出入国の際の送迎」、③「住居の確保・生活に必要な契約に係る支援等」、④「生活オリエンテーションの実施」、⑤「日本語学習の機会の提供」、⑥「相談・苦情への対応」、⑦「日本人との交流促進に係る支援」、⑧「雇用契約を解除される場合の転職支援」、⑨「定期的な面談の実施・行政機関への通報」の順に見ていきましょう。 

 

事前ガイダンスの提供(義務的支援)

 特定技能1号の外国人を雇用した後は、当該外国人に対して事前ガイダンスを行う必要があり、以下の①~⑩に関しての情報提供が必要です。なお事前ガイダンスは、本人の確認を取った上で、対面又はテレビ電話、インターネットによるビデオ通話でも実施することができます(ただしメールのみ、電話のみ、文書の郵送のみ等は不可)。また、本人が十分に理解することができる言語によって実施し(通訳同伴等)、3時間程度行うことが必要だと考えられます。

 

従事する業務の内容・報酬の額・その他の労働条件。

 

日本で行うことができる活動の内容(※特定技能ビザに該当する活動であること、技能水準が認められた業務区分に従事すること)

 

入国に当たっての手続きに関する事項(※入国の際に日本大使館・領事館で査証申請を行って在留資格認定証明書の交付から3ヵ月以内に入国すべきことや、既に国内にいるときは変更後の在留カードを受領すべきこと等)。

 

保証金の徴収禁止等(※外国人・その配偶者、直系・同居親族・その他密接な関係を有する者が、特定技能雇用契約に基づく外国人の日本での活動に関して、保証金の徴収、その他名目を問わず、金銭・財産等を管理されず、雇用契約の不履行に際して違約金・その他不当に金銭等の移転を予定する契約の締結をしていない、させないこと)。

 

支払費用の有無等(特定技能雇用契約の申込みの取り次ぎ、又は外国における特定技能1号の活動準備に関して外国の機関に費用を支払っている場合には、その額及び内訳を十分理解して合意している必要があること。支払費用の有無、支払った機関の名称、支払年月日、支払った金額・その内訳の確認を行う)。

 

支援に要する費用(※支援に要する費用を直接・間接に当該外国人に負担させないこととしていること。義務的支援に要する費用は当該外国人を雇用した会社(特定技能所属機関等)が負担する)。

 

出迎え・送迎(※外国人が入国しようとする港・飛行場において出迎え、事業所(又は住居)まで送迎を行うこと)。

 

適切な住居の確保に係る支援(※住居の確保に関する支援内容を説明する。社宅等を貸与予定の場合は広さ・家賃等の負担すべき金額などを説明)。

 

相談・苦情の対応(※職業生活・日常生活・社会生活に関する相談・苦情の申し出を受ける体制を説明。方法や時間帯等)。

 

支援担当者の氏名・連絡先。 

 

任意的支援

 任意的支援として、日本入国時の気候や服装についてのインフォメーションや、日本に持参すべき物、当面必要となる金額、会社から支給される物について情報提供することが考えられます。

  

出入国の際の送迎(義務的支援)

 特定技能1号の外国人が出入国しようとする場合には、港又は空港において送迎することが必要です(空港から事業所又は住居までの間を送迎。なお、一時帰国の際の出入国は義務的支援に含まれていません)。空港であれば保安検査場前まで同行し、入場したことを確認する必要があります。※登録支援機関が送迎に関して社用車や自家用車を利用する場合には道路運送法上の必要な許可が必要となる可能性が高いため、公共交通機関を利用すべきです。

 

任意的支援

 技能実習2号から特定技能1号へ変更した外国人で、既に日本国内に在留している場合には送迎支援の対象外ですが、日本国内の移動について送迎を実施することや、移動に要する費用を会社側が負担するとする内容の支援を行うこともできます。なお、送迎を実施しない場合であっても、交通手段や緊急時の連絡先を伝達しておくことが望まれます。

  

住居の確保・生活に必要な契約に係る支援(義務的支援)

 特定技能1号の外国人が住居を確保していない場合には、適切な住居の確保を支援してあげる必要があります。なお、この支援は外国人が転居する場合にも必要です。支援の方法としては、当該外国人の希望に基づき、①「賃貸借物件の住居探しの補助」、②「会社が借り上げた物件の提供」、③「会社が所有する社宅の提供」のいずれかの方法でおこないます。

 ①の方法であれば、賃貸物件の情報提供や、必要に応じて同行し住居探しの補助を行います。また、連帯保証人が必要な場合に、連帯保証人として適当な者がいない場合には、特定技能所属機関等(受入会社・登録支援機関)が連帯保証人になる又は家賃債務保証業者を確保して緊急連絡先になる等の対応が必要となります(※家賃債務保証業者を利用した場合の保証料は特定技能所属機関等が負担する必要があります)。

 居室の広さは1人当たり7.5㎡以上を満たすことが求められています(複数人でルームシェアする場合も同様。ただし、技能実習2号等から特定技能1号に変更する場合で、既に確保している住居に居住する場合は4.5㎡以上。また、同等の業務を行う日本人労働者に社宅等を提供している場合、居室の広さ等について同等の処遇が必要です)。

 

 生活に必要な契約に係る支援とは、銀行の預金口座開設、携帯電話の利用契約、その他、電気・ガス・水道等のライフライン等に関して必要な書類の提供、窓口案内、必要に応じて各種手続きに同行するなどです。

 

任意的支援

 特定技能1号の雇用契約が解除・修了後であっても、次の受入先が決まるまでの間に、住居の確保が必要な場合には、上記の住居確保の支援をすることで当該外国人の日常生活の安定・継続性に支障が生じないよう配慮することが望まれます。

 特定技能1号の外国人が賃借人となり居室を契約する場合には、家賃・敷金・礼金等は本人が負担するものですが、会社が任意に全額又は一部を負担することも可能です。

  

生活オリエンテーションの実施(義務的支援)

 生活オリエンテーションとは、特定技能1号の外国人が日本に入国した後または在留資格変更の許可を受けた後に、日本での生活が安定的かつ円滑に行えるようにするための支援です。入国後または変更許可後、遅滞なく実施する必要があります。

 生活オリエンテーションでは以下の①~⑥までの情報提供を行います。支援にあたっては対面のほか、テレビ電話、DVD等の動画視聴でも差し支えありませんが、質問に対して適切に応答できるようコミュニケーションがとれる体制が必要です。また、本人が十分に理解することができる言語によって実施し、少なくとも8時間以上行うことが求められています。

 

生活一般に関する事項の情報提供として、(一)金融機関の利用方法(ATMの使い方や、帰国の際には口座を閉鎖する等)、(二)医療機関の利用方法(利用可能な症状別医療機関、受診方法等)、(三)交通ルール(歩行者は右側通行、車両は左側通行で運転免許が必要なこと。自動車や自転車を利用する場合は保険加入が必要等。歩行者優先)。(四)交通機関の利用方法(勤務先までの経路や時間、切符・定期の購入方法、ICカード利用方法等)。(五)生活ルール・マナー(ゴミの出し方、騒音の注意、喫煙マナー等)。(六)生活必需品等の購入方法(生活圏でのスーパーマーケット、コンビニ、ドラッグストア等の所在地確認)。(七)気象や災害時の情報入手(気象・災害を確認するホームページやアプリ、出身国別外国人のコミュニティーサイト等)。(八)違法となる行為の例(銃砲刀剣類の所持の禁止、大麻・覚せい剤、在留カードの不携行、在留カードや健康保険証の貸し借り、銀行口座の譲渡、放置されている他人の自転車等の利用が犯罪であること)。

 

履行しなければならない国・地方公共団体に対する届出・手続に関する情報提供として、(一)所属機関等に関する届出(会社の名称・所在地に変更があった場合や、雇用契約の終了、新たな雇用契約の締結の際は入管に届出が必要なこと)、(二)住居地に関する届出(新規上陸後や住居地変更に伴う住民登録等の届出)、(三)社会保障・税に関する手続(給与から天引きされる健康保険・厚生年金・住民税・源泉徴収等に関する制度説明。会社が適用事業所以外の場合には外国人自身が国民健康保険・国民年金に加入すべきこと。税・保険料に未納がある場合には在留更新申請が不許可になる場合があること。離職後でも翌年まで納税義務があること。その場合には一括納税や納税管理人制度も利用可能であること等。マイナンバー制度について)。(四)その他の行政手続(自動車防犯登録の方法等)。※これらの届出・手続きを履行するに当たっては、必要に応じ、窓口への同行、書類作成の補助などの支援が必要です。

 

相談又は苦情の申し出に対応するとされている者の連絡先・国・地方公共団体の連絡先についての情報提供(支援担当者の氏名・電話番号・メールアドレス、入管(在留資格について)、労働基準監督署(労働条件について)、ハローワーク(失業給付や職業相談)、法務局(人権・差別について)、警察署(犯罪について)、市区町村(住民税・国民健康保険等について)、弁護士会(トラブルについて)、大使館等)。

 

当該外国人が十分に理解することができる言語により医療を受けることができる医療機関に関する情報提供(通訳人を配置している、又はインターネット・電話により通訳サービスが導入されている病院の情報。医療通訳雇入費用等をカバーする民間医療保険への加入案内等)。

 

防災及び防犯に関する事項、急病・その他の緊急時において必要な事項の情報提供(地震・津波・台風等の自然災害、事件・事故等への備え、火災の予防。緊急時の警察・消防等への通報・連絡方法、救急医療機関への連絡方法。緊急速報メールの設定方法)。

 

出入国又は労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法(入管法違反や、労働関係法令、労働安全衛生、未払賃金に関する知識、違反がある場合の連絡先・連絡方法)。  

  

日本語学習の機会の提供(義務的支援)

 特定技能1号の外国人が日本での生活に必要な日本語を学習する機会を提供することが必要です。内容としては、外国人の希望に基づき、①「日本語教室や日本語教育機関に関する入学案内の情報提供」、②「自主学習のための日本語学習教材やオンライン日本語講座に関する情報提供」、③「会社等が日本語教師と契約して当該外国人に日本語講習の機会を提供」のいずれかの方法で支援する必要があります。なお、必要に応じて①~②の入学手続きの同行や、利用契約手続きの補助が必要です。

 

任意的支援

 任意的支援として、支援責任者又は支援担当者、その他の職員により日本語指導・講習を行ったり、日本語学習を促すため、日本語能力試験等の受験支援や資格に対する優遇措置、日本語教育機関・日本語教師との契約料などの全部・一部の支援などが考えられます。

  

相談・苦情への対応(義務的支援)

 特定技能1号の外国人から職業生活、日常生活、社会生活に関し相談・苦情の申し出を受けたときは、遅滞なく、これらの相談・苦情に適切に応じるとともに、当該外国人への助言や指導、その他の必要な措置を行う必要があります。相談の内容に応じて、適切な機関を案内し、必要に応じて同行するなどが考えられます。本人が十分に理解することができる言語によって対応することが求められるとともに、当該外国人の雇用形態に合わせて1週間当たり勤務日の3日以上、休日に1日以上対応し、可能な限り相談しやすい就業時間外(夜間)などにも対応できることが求められます。相談・苦情の対応を行った場合には相談記録書に記録しておく必要があるとともに、関係行政機関への相談・通報を行ったものについては支援実施状況に係る届出書への記載が必要です。なお、相談等が理由で職場での待遇等において不当な取り扱いがなされないようにしてください。

 

任意的支援

 相談・苦情の内容により、相談窓口の情報を一覧にして、あらかじめ手渡しておくことが望まれます。相談・苦情専用の窓口や連絡先の設置、けが等の場合の労災保険等の周知や必要な手続きの補助などが考えられます。

   

日本人との交流促進に係る支援(義務的支援)

 日本人との交流を促進や、日本文化を理解するための情報として、必要に応じ、地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域住民との交流の場に関する情報提供、自治会等の案内を行い、行事への参加手続きの補助や、必要に応じて行事等に同行し、注意事項や実施方法の説明を行うなどが必要です。

 

任意的支援

 業務に支障を来たさない範囲で、行事に参加できるように、有給休暇の付与や、勤務時間について配慮することが望まれます。

   

雇用契約を解除される場合の転職支援(義務的支援)

 人員整理や倒産等、特定技能1号の外国人の責めに帰すべき事由によらないで、特定技能雇用契約を解除される場合には、①「次の受入先に関する情報の入手と提供」、②「公共職業安定所その他の職業安定機関又は職業紹介事業者等を案内し、必要に応じて同行するとともに次の受入先を探す補助をする」、③「外国人の希望条件・技能水準・日本語能力等を踏まえ、適切に職業相談や就職活動が行えるように推薦状を作成する」、④「職業紹介事業を行うことができる場合には就職先の紹介・あっせん」のいずれかの支援を行う必要があります。また、求職活動にあたっては有給休暇を付与すること、離職時に必要な行政手続きについての情報提供(国民健康保険・国民年金等)をすることも必要です。

 なお、倒産等により転職のための支援が適切に実施できなくなることが見込まれる時は、それに備え、当該機関に代わって支援を行う者を確保する必要があります。

   

定期的な面談の実施・行政機関への通報(義務的支援)

 特定技能1号の外国人の労働状況や生活状況を確認するため、支援責任者又は支援担当者が、当該外国人及びその監督をする立場にある者(上司等)と、3ヵ月に1回以上の定期的な面談を実施します。

 面談において、長時間労働や賃金不払残業など労働基準法その他の労働に関する法令の規定に違反していること、その他の問題の発生を知ったときは、その旨を労働基準監督署その他の関係行政機関に通報することが必要です。

 また、外国人が資格外活動等の入管法違反、旅券・在留カードの取り上げ等の問題があることを知ったときは、入国管理局への通報が必要です。

 面談は対面による直接対話が必要であり、テレビ電話等では行うことはできません。また、面談では、生活オリエンテーションで提供した生活一般に関する事項、防災・防犯に関する事項、急病・その他の緊急時において必要な事項の情報提供を必要に応じて改めて提供することが求められます。

 面談に当たっては、本人が十分に理解することができる言語によって実施することが求められます。

 ※外国人用、監督者用の定期面談報告書を作成し、支援実施状況に係る届出書を届け出る際に添付が必要です。

 

任意的支援

 特定技能1号の外国人が、自ら通報を行いやすくするため、関係行政機関の窓口情報を一覧にするなどして、あらかじめ手渡しておくことが望まれます。

   


 登録支援機関とは  

 

  登録支援機関とは、出入国在留管理庁長官から登録を受けた機関であって、特定技能1号の外国人を受け入れる会社等(以下、受入会社)から委託を受けて、特定技能1号の外国人の支援を代わりに行うことができる機関です。

 本来、支援計画に従って特定技能外国人に支援を行うのは受入会社ですが、登録支援機関に支援計画の全部又は一部の実施を委託することができます。なお、支援に関する費用は受入会社において負担します(受入会社が登録支援機関に支援委託料・その他の費用等を支払って支援を委託します)。

 登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託した場合には、受入会社が満たすべき支援体制(1号特定技能外国人支援計画の適性な実施の確保の基準)を満たしたものとみなされます。登録支援機関の登録を受けようとする場合には、受入会社と同様に登録を受けるための基準や義務があります。また、登録支援機関は他の機関に支援の再委託をすることはできません。

 

 行政書士浅岡正道事務所では、登録支援機関として4.ARROWS株式会社をご紹介することができますので、お気軽にご相談ください。


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